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ミサイル防衛の問題点

世界的に進む米軍再編、そして終わりなき対テロ戦争。その中で日米の軍事的一体化のシンボルとして日米ミサイル防衛計画が粛々と進められている。そこに隠されたアメリカの真の目的とは・・・。

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費用編(2) SM-3の飛行実験について (その2)

2006/03/14(火) 12:58:02

:コウタさん、前回の記事をおさらいすると、「新型SM3の飛行実験を確認しただけにもかかわらず、成功と大々的に報道された。」ということですね。

:新聞記事だと、さもMD計画が実現可能な感じで書いてあったから騙されてしまった人、けっこういただろうね。で、実際問題、MDって計画通りに本当に順調に進行しているの?

:はい、今日は前回とは違う角度から見てみましょう。まず今回の実験について報道されなかった事実にスポットライトを当てたいと思います。今回のたった1回の実験にかかった費用は100億円と言われています。そして日本側は62億円負担したそうです。

:うひゃ~、そんなに高いの~?ずいぶん高価で豪勢な打ち上げ花火だな~。しかもやっぱり日本側の方が多く金を出してるのかよ~

:はい、もう少し具体的に見てみましょうか。「ノーズコーン」を開発したのは、三菱重工です。新型SM3が今後、量産することになれば、三菱重工は大儲けできるでしょうね。それから今回の実験とは直接関係ありませんが、「第2段ロケットモーター」を担当するのは、日本のIHIエアロスペースという企業です。IHIエアロスペースは、H-IIAロケットの固体ロケットブースター(SRB-A)やロケット分離等に使用される火工品、第2段姿勢制御用ガスジェット装置の製造・開発などにも携わっている会社ですね。

:そう言えば、この新型SM3の部品の輸出をするために、武器輸出禁止三原則が緩和されることが既定路線になっているんですよね。つまり経団連を含めて日本の軍需産業はMD大賛成なんですよね~。でもその財源は私たちの税金だから、納税者として厳しく見つめるべきですよね。こういうのは所得格差が開く理由の一つですよね。

:そうですね。そして、こういう利権の絡みを大きくスケールアップしたのが、アメリカの巨大軍需産業なんですよ。レイセオンという世界第2位の軍需製品メーカーがSM2やSM3の製造の中心部分を手がけています。横道にそれますが、レイセオンはレーダーに使うマイクロ波を研究している間にマイクロ波が調理に使えることを発見し、電子レンジを発明した会社でもあるんですよ。それはともかくとして、日本は1発、20億円する現在のSM3を36発、購入予定でいます。現在のSM3は純アメリカ産なので、日本は総額720億円もアメリカに支払うことになるわけです。

:こうやって数字が出てくると改めて費用対効果の問題を考えたくなりますね~。いずれ日本政府は増税するつもりらしいですけど、ミサイル防衛をやり続けるなら絶対に増税しないと無理ですよね。

:はい、そういうことをマスコミは伝える義務があるのに、その逆、すなわち政府に協力して一般大衆を騙す役割をしているんですよね。ところで話をもう一度戻して、ミサイル防衛計画が計画通り順調に進行しているのかどうか考えてみたいと思います。では、今年の2月20日の共同通信の記事を見てください。


来月9日ごろ初の共同実験 ミサイル先端分離で日米

 【ワシントン20日共同】日米両政府が、次世代ミサイル防衛の海上配備型迎撃ミサイル(SM3)開発で計画していた初の共同飛行実験は来月9日ごろ、米ハワイ沖で行われることが分かった。日米関係筋が20日、明らかにした。同実験は日本の独自技術を生かしたミサイル先端部分の覆い「ノーズコーン」の空中分離などの性能を確認することが目的。
 一方、米政府筋によると、弾道ミサイルの探知を目指したP3C哨戒機搭載の赤外線システム(通称エアボス)の実験は中止された。日本側が同機のハワイ派遣中止を連絡してきたためで、詳しい理由は不明。
 日米は昨年、北朝鮮の弾道ミサイル開発などを受け、次世代型ミサイル防衛のミサイル開発段階への移行で合意。今回の実験で、ミサイル防衛構想は実用化への新段階を迎える。


:え~、そうだったんですか?弾道ミサイルの探知をすることができるエアボスを搭載したP3C哨戒機もSM3の今回の実験に参加する予定だったということは、やはり、弾道ミサイルの迎撃実験を本当はやる予定だったんですね。これでやっぱり計画通り進んでいないことが明らかになりましたね。

:この共同通信の記事だと迎撃実験ではなくて飛行実験になっているな~。計画通りに進んでいないことを少しでもばれないように工夫している努力がわかるね。

:計画通り進んでいないことがバレるとただでさえ実現未知数のミサイル防衛計画に毎年、予算をどんどん増額して行くのが不自然に見えてきますからね。何としても政府はそれを隠したいのでしょう。それから、もう一つ別の古い記事を見てください。これは2005年6月12日の読売新聞の記事です。


航空機にミサイルセンサー、防衛庁が性能確認へ

 防衛庁は、航空機に搭載して敵地からの弾道ミサイル発射などを探知、追尾できる新型の赤外線センサー・システム(通称「エアボス」)を搭載した試験機を製作し、今月から性能確認試験に入る。将来的には、高高度を飛ぶ無人偵察機にエアボスを搭載して北朝鮮の弾道ミサイル発射を24時間監視する構想も検討している。

 エアボスは、円筒形のセンサー・ヘッド(直径60センチ、高さ80センチ)が出す赤外線を使い、数百キロ・メートル先のミサイルや航空機を監視するシステム。米軍はすでに、弾道ミサイルの電波信号などを捕捉して性能を分析する電子偵察機「RC135S(コブラボール)」を実戦配備し、嘉手納基地(沖縄)を拠点に北朝鮮に対する監視活動を行っている。

 性能確認試験は、海上自衛隊のP3C哨戒機の上部にセンサー・ヘッドを取り付けた試験機を飛ばし、日本近海で航空機などを対象に、探知可能な距離の計測や追尾能力の検証、天候による精度の変化を調べる。今年度末まで試験を実施する。2006年度までの予定の研究段階を前倒しで終えて、開発段階に移行することも視野に入れている。

 防衛庁では「ミサイル防衛(MD)システムは、地表が雲に覆われている場合に能力が落ちる米国の早期警戒衛星で探知するだけでなく、エアボスでも補完すれば、より確実に発射を探知することができる」と期待している。
(読売新聞) - 6月12日


:へ~、去年の6月からエアボスの試験機の性能確認試験を始めていたんだね。それから9ヶ月たったのに今回の実験に参加できなかったということは、かなり深刻な問題を抱えているような気がするなぁ~。

:これらの情報を分析するとそのように推測できますね。しかし、順調に計画通り進んでいなくても、報道が偏向しているせいで日本国民はミサイル防衛がうまく進んでいると信じている人たちが大多数だと思います。そして計画通りに進んでいないということはですね~、開発費用が膨張することが確実になっているというわけで、黙認すればするほど、ミサイル防衛計画が失敗した時の損失がどんどん大きくなるわけです。さらにですね、万が一、膨大な費用を投資してミサイル防衛システムが完成したとしても、南北に長い日本列島を24時間、365日、何十年も、何百年も稼動させたら、どれだけのコストが必要かという数値は今のところ全く試算されていないんですよね。

:それに完璧なミサイル防衛があったとしても生物兵器のテロなどを防げるわけではないし、日本の安全を確保できるわけではないんですよね~。というか大地震の方が潜在的な脅威のような気がしますよ。

:そんなことを言ったら、その他にも地球温暖化による食糧危機問題や石油ピーク後のエネルギー資源問題、新型インフルエンザなどの脅威に備えた方がいいんじゃないの~?

:え~と、そろそろこの辺で終わりにしないといけないので、今日はここまでにしましょう。おまけとしてアメリカの風刺を紹介します。


spending_2007.jpg



:やっぱり、今の世の中、何かが間違っていると思った方、
クリックお願いします



《参考資料》
資料1:『海舌』 the Sea Tongue by Kaisetsu of ODA Watchers / ミサイル防衛日米共同迎撃実験に反対を
資料2:日本経団連:今後の防衛力整備のあり方について
資料3:予算抜き日経「ミサイル防衛、初の日米共同飛行実験が成功」御用報道唖然
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| #|2006/03/15(水) 08:44 [ 編集 ]

つぶさに比較すると、政府情報をそのままたれ流す日本のマスコミの記事であっても、ある程度の推測(不完全な情報操作の跡)をすることができるということですね。最近テレビ(CS)でも、防衛庁の官僚がミサイル防衛の説明をしてたけど、問題点(囮弾等)にはあまり触れていなかった。あれだけ聞けば、あまり興味の無い人には実現可能に見えても仕方が無い。しかし、経団連も絡んでいるとは・・・
URL|自由 #-|2006/03/16(木) 21:45 [ 編集 ]

自由さん、こんにちはv-298
確かに過去の報道を遡ると、このように理論的に検証することがある程度できます。
しかし、それを難しくしているのが日本のマスコミの記事閲覧時間が極端に短いことです。
海外のメディアは1年以上の期間、過去の記事を調べて読んだりできるようにしているところがたくさんあります。
日本の場合、24時間程度でリンク切れにされてしまうこともあり、とても不自由ですよね。
遺跡発掘をするような気分で今回の過去記事もやっと発掘してきましたv-389

はい、とてもやっかいなことに経団連はミサイル防衛に賛成しています。
これは軍需産業に手を出して、金儲けしたいという魂胆があると思います。
納税者として厳しく見ていかないと、彼らを太らせてしまうだけで、何の見返りも受けられないと思います。

URL|コウタ #T5cQRYBo|2006/03/17(金) 11:10 [ 編集 ]

フタバのブログにコメントありがとうございました。
武器輸出三原則は、いつのまに緩和されてたんだろう。
緩和してほしいと経団連だったかが言った、というのは少し前に
ききましたが・・・
こちらの記事、まだ全部読んでいませんが、興味深いです。
じっくり読ませていただきます。
URL|フタバ #-|2006/03/17(金) 22:27 [ 編集 ]

フタバさん、こんにちは~v-299
え~と、武器輸出三原則が緩和されたのは、いつでしたっけ・・・v-401

(只今、検索中)

あ~!v-399・・・まだ、正式には法律で緩和されていないようですね・・・
安全保障と防衛力に関する懇談会の第10回(平成16年9月15日)の議事で「武器輸出三原則については、基本的には緩和が必要である。」と提言されているだけかもしれません。
ご指摘、どうもありがとうございましたv-410
自分の思い込みで既に緩和されていると思っていました。
記事中の文章は未来形の表現に訂正を入れておきますv-355
今後もどうぞ、よろしくお願いします。
URL|コウタ #T5cQRYBo|2006/03/18(土) 10:38 [ 編集 ]

こんにちは、わざわざ調べていただいてありがとうございました。

フタバとしましては、「基礎知識編」にまず興味があります。
つづき、ゆっくりたのしみにしております。

日本の新聞ネット版の早期リンク切れ、私も残念におもいます。
The Independent というイギリスの新聞は、タダでメール配信してくれて、数日たつと、記事ごとに課金されるしくみになっています。
記事自体が日本の新聞の記事より長く、署名記事は最初から有料です。
日本の新聞は、自分とこの記事を大切にしてないのかもしれません。
調べ物の伝統的手法としては、おそらく図書館でじっくり、ということになるのでしょうがなかなか、ネット検索になれてしまった現在、腰が重いですね。

ともあれ、フタバの方のブログでも、この問題に関することはできるだけとりあげていきたいと思っています。
最近更新とどこおりがちなんですが・・・
URL|フタバ #-|2006/03/21(火) 22:52 [ 編集 ]
フタバさんへ
どうも、こんにちはv-311
なるほど、確かにイギリスの新聞はv-285も時々読んでいます。
一番良く見るのはBBCで、次がGuardian Unlimitedですが、これからは The Independent もチェックしてみます。

リクエストに応えて次回作は「基礎知識編」でブログの更新をしてみますね。
今後もどうぞよろしくお願いします。
URL|コウタ #T5cQRYBo|2006/03/22(水) 12:43 [ 編集 ]
エアボスについて
エアボスについてなのですが、昨年の11月17日にあった弾道ミサイル迎撃実験時に弾道ミサイルの探知・追尾に成功したというニュースがありますよ。
なので流れとしては
6月情報公開→11月探知追跡実験に成功→3月実験を中止
となり何か問題が発生したのは確かでしょうが、これから「かなり深刻な問題を抱えている」と判断するのはどうかと思います。
URL|yt #oPiqAFzQ|2006/03/23(木) 16:02 [ 編集 ]
ytさんへ
おぉ、貴重な情報、どうもありがとうございますv-368
早速、自分で調べたところ、以下のような記事を発見できました。


防衛庁、弾道ミサイル探知実験に成功…航空機搭載型

 防衛庁が研究中の航空機搭載型の赤外線センサー・システム(通称「エアボス」)が、弾道ミサイルを探知・追尾する実験に成功していたことが明らかになった。
 エアボスは、円筒形のセンサー・ヘッド(直径60センチ、高さ80センチ)により赤外線を感知し、数百キロ・メートル先のミサイルや航空機を監視するシステム。実験は、ハワイで17日に行われた米ミサイル防衛庁による弾道ミサイル迎撃実験にあわせて、防衛庁がエアボスを搭載した試作機(UP3C)を派遣して実施した。
(読売新聞) - 2005年11月24日



この記事によるとytさんのおっしゃる通りなのですが、本家のMDAの発表も調べたところ、その事実を確認できませんでした。

http://www.mda.mil/mdalink/pdf/05news0010.pdf

読売の記事配信日が、実験を行ってから1週間後になっていること、先日のSM3飛行実験が、「初の日米共同実験」と発表されていることなども考慮に入れると、もう少し事実関係をきちんと調べたいと思いました。


日米、次世代ミサイル防衛で初の共同実験に成功

ロイター - 2006年3月8日
[ワシントン 8日 ロイター] 米国防総省ミサイル防衛局は、次世代ミサイル防衛の開発に向け、日米が初めて行った海上配備型迎撃ミサイル(SM3)の共同飛行実験に成功したことを明らかにした。
 実験では、ハワイのカウアイ島沖で、米国製のイージス艦からSM3を発射。「ノーズコーン」と呼ばれる新型の先端部分を搭載したSM3は、模擬標的に向けて無事発射された。



現時点で、 v-285ができる返事はここまでですが、また情報提供など、よろしくお願いします。
URL|コウタ #T5cQRYBo|2006/03/24(金) 11:33 [ 編集 ]
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